大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和37(オ)616 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人松野一衛の上告理由第一点について。

所論は、本件建物およびその敷地を以てする本件代物弁済契約が、その評価額を

債権額と対比すれば、公序良俗に違反して無効であることが明らかであるというが、

右物件の評価額が金七八五万四二四〇円であることは原審の認定しないところであ

り、却つて原審の確定したところによれば、その評価額は約四三〇万円というので

あつて、金二六○万円の債務の代物弁済として右程度の評価額の物件を取得する旨

の契約は、特に貸主たる被上告人側において借主たる上告人の窮迫、無経験もしく

は軽卒に乗じてこれをなしたような事情でもあるならば格別、そのような特別の事

情の存在を認め得ない本件においては、右代物弁済を以て無効となすことはできな

いから、所論は理由がない。

同第二点について。

所論は、原審が上告人申請の証人の取調をしなかつたことにつき、これを民訴一

八七条三項後段の規定に違反するというが、右規定は、同一審級において裁判官の

過半数が更迭するに至つた場合に証人の再尋問の申出があつたときの手続を定めた

ものであつて、一審裁判所が尋問した証人につき控訴審において再尋問の申出があ

つた場合に適用すべきでないことは昭和二四年(オ)第九三号、昭和二七年一二月

二五日言渡判決(民集六巻一二四〇頁参照)の示すところにより明らかであり、ま

た、当事者の申し出た証人を採用するか否かは、当該事件を審理する裁判所の専権

に属するところであつて、原審は一審で取り調べた各証人の証言および当事者双方

本人尋問の結果ならびに直接取り調べた上告人本人尋問の結果によつて心証を得た

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ものとして、上告人の申し出た所論各証人を採用しなかつたことを窺うに足りるか

ら、所論は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 草 鹿 浅 之 介

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